産業用ロボット市場で今後起こるであろう出来事を予測し解説していきます。
今後の世界的な人手不足やIT技術の高度化によって市場にはどのような変化が起こっていくのでしょうか。
協働ロボットの導入が進む
協働ロボットとは人間と共に同一空間上で作業を行えるロボットのことを指します。
これまでロボットは大型であることが基本でした。
そのため人間と離れた場所で作業を行うのが一般的でしたが小型化が進んだことで状況が変化しています。
安全性が確保できるようになったことで協働ロボットの導入が進んでいるのです。
これまで実用化に向けた検証が行われていた協働ロボットですが、今後実際に製造業などで多数導入されていくと考えられます。
協働ロボットの産業用ロボット市場における規模は2019年度で590億円でしたが、2025年にはおよそ2653億円になるとされているのです。
これは約4.5倍の数値であり、大手企業も協働ロボットの販売に乗り出しています。
今後多くのメーカーで協働ロボットが導入されていくことが予想され、人間とロボットが同じ場所で働くように変化していくことでしょう。
高度な工程への導入が進む
今まで主にライン生産などで導入されてきた産業用ロボットですが、今後はセル生産への導入も進んでいくことでしょう。
セル生産はライン生産よりも高度な工程であり、単純作業ではないためロボットの導入が難しかった分野です。
ロボットビジョンにより、ロボットが視覚的に製品を認識できるようになったことでこうした分野でも今後活躍していくことが予想されます。
ロボットビジョンを搭載したロボットはより高精度に製品を認識し、複雑な作業をこなすことができるためです。
これにより多品種でライン生産が難しい医薬品や食品業界などのセル生産の現場でも積極的に導入されていくことでしょう。
また、ロボットビジョンによる製品の認識により複数の工程で産業用ロボットが導入されていくことが予想されます。
幅広い業種で導入されるだけでなく、より高度な工程で産業用ロボットが導入されファクトリーオートメーションが推進されていくことでしょう。
IoTやAIの活用
産業用ロボットにおいても、IoTやAIを活用する動きが本格化しています。
IoTはロボットをインターネットと接続することで業務におけるデータを収集することができるため、今後重宝されていくことでしょう。
これによりロボットの状態が瞬時に把握できるだけでなく、システムの不具合にもすぐに気がつくことができます。
IoT技術は産業用ロボットにおいても作業の効率化に大きく貢献することでしょう。
また、AIは産業用ロボットのティーチングの設定を簡略化したり必要無くしたりするために研究が進められています。
ティーチングとは、ロボットの動作をセッティングする作業のことです。
AIによってロボットが自ら業務について考え、働くようになればこの作業を将来的に無くすことができます。
そうなれば誰であっても手軽に産業用ロボットを扱うことができるようになるでしょう。
--------------------------------------------------------------