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長良の落陽。

PM型ステッピングモータが脱調する原因と対策

PM型ステッピングモータ(永久磁石型)は、構造が比較的シンプルで低速域のトルクが得やすく、位置決め用途で広く使われています。しかし、負荷変動や加減速条件が厳しいと、指令したステップに追従できず「脱調」が発生し、位置ズレや停止トラブルにつながります。脱調は“突然起きる”ように見えて、原因を分解すると対策が立てやすい現象です。本稿では、主な原因と実務的な対処法を整理します。
1) 負荷トルクがモータトルクを上回っている
最も基本的な原因は、実際に必要なトルクがモータの発生トルク(回転中トルク)を超えることです。
余裕トルクが小さいと、わずかな負荷増でも脱調します。対策は、トルク曲線に対して十分なマージンを確保し、必要ならモータサイズ・ギア比を見直します。
2) 加速・減速が急すぎる(慣性負荷の影響)
負荷慣性が大きいのに加減速時間が短いと、加速に必要なトルクが増え、脱調しやすくなります。
台形加速やS字加速で立ち上げを緩やかにし、最高速に到達するまでの時間を延ばすと安定します。負荷慣性の低減(軽量化)も有効です。
3) 高速域でのトルク低下(電流立ち上がり不足)
回転数が上がるほどコイル電流が十分に立ち上がらず、トルクが落ちやすくなります。
電源電圧の見直し、定電流チョッパドライバの採用、配線抵抗の低減などで高速域トルクを改善できます。


「写真の由来:Oukeda PM42 永久磁石ステッピングモーター OK42PM22-0186A-C1 7.5度 4.90Ncm 12V 6線

4) 共振(振動)による実効トルクの低下
ステッピングモータは特定回転域で共振しやすく、振動が増えるとトルクが有効に使えず脱調に至ります。
マイクロステップ化、共振帯を避けた運転点設定、機械剛性の向上、ダンパ追加などが典型的な対策です。
5) 電流設定ミス・電源不足
ドライバの電流設定が低い、または電源容量不足で電圧降下が起きると、必要トルクが出ません。
定格電流に合わせた設定、電源容量の確保、ピーク電流時の電圧降下チェック(配線も含む)を行います。
6) 取付・伝達系の問題(カップリング、ベルト張力、芯ズレ)
軸芯ズレやカップリングの不適合、過大なベルト張力は、余計な負荷や振動を生みます。
芯出し精度の改善、適切なカップリング選定、ベルト張力の最適化、軸受状態の点検で脱調要因を減らせます。
7) 指令パルス品質の問題(ノイズ・欠落・ジッタ)
パルスが欠落したりタイミングが乱れると、モータが意図しない挙動になり脱調に見えることがあります。
シールドやツイスト配線、適切な接地、配線分離(動力と信号)、入力フィルタ設定などで信号品質を確保します。
8) 温度上昇によるトルク低下・保護動作
長時間運転でモータやドライバが熱くなると、抵抗増加で電流が下がったり、保護で出力が制限されます。
放熱(取付面・通風)を改善し、連続定格内で運用します。必要に応じて電流低減やデューティの見直しも検討します。
まとめ
PM型ステッピングモータの脱調は、①トルク不足(負荷過大・高速トルク低下)、②加減速条件(慣性負荷)、③共振、④電源・設定不備、⑤機械伝達系や信号品質、⑥熱の問題に大別できます。対策の基本は「トルク曲線で余裕を確保し、加減速を最適化し、共振とノイズと熱を潰す」ことです。現象が出たら、負荷→加減速→電源/電流→機械→信号→温度の順で切り分けると、効率よく原因に到達できます。
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