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長良の落陽。

EMI対策の基本|スイッチング電源に発生するノイズの抑制方法

スイッチング電源は高効率・小型化に優れる一方、スイッチング動作に伴う急峻な電圧・電流変化によりノイズが発生しやすく、周辺機器の誤動作や規格不適合の原因になることがあります。とくに近年は機器の高周波化・高密度実装が進み、EMI(電磁妨害)対策の重要度が増しています。本稿では、EMI対策の基本として、スイッチング電源に発生するノイズの抑制方法を要点整理します。
スイッチング電源のノイズ抑制方法(EMI対策の基本)
ノイズの種類(伝導/放射、コモンモード/ノーマルモード)を切り分ける
対策は「どの経路で、何が支配的か」を把握すると効果が出やすくなります。伝導ノイズは電源線を通って広がり、放射ノイズは配線や基板パターンがアンテナになって空間に漏れます。さらにコモンモードとノーマルモードで有効な部品が変わるため、測定と切り分けが出発点になります。



「写真の由来:RT-65B MEANWELL 64.6W 5/12/-12VDC スイッチング電源/ CNC 電源 トリプル出力
スイッチング波形を“急峻にしすぎない”(dv/dt・di/dtの抑制)
立ち上がりが速いほど高周波成分が増え、EMIが悪化しやすくなります。ゲート抵抗の調整、スルーレート制御、スナバ回路(RC/RCD)などで波形を適度に緩め、リンギング(振動)を抑えるのが基本です。
レイアウト最適化で高周波ループを最小化する
多くのEMI問題は部品そのものより配線・レイアウト起因で発生します。スイッチング電流が流れるループ(MOSFET—ダイオード—入力コンデンサなど)を短く太くし、GNDの戻り経路を明確にします。高周波電流が意図しない経路を回り込むと、放射・伝導が一気に増えます。
入力/出力フィルタで伝導ノイズを抑える(LC、πフィルタ)
電源ラインを伝わるノイズには、インダクタとコンデンサで構成するフィルタが有効です。周波数帯に合わせて定数を設計し、コンデンサのESR/ESLも考慮します。フィルタは「入れれば効く」ではなく、配置(どこに置くか)で効果が大きく変わります。
コモンモード対策(コモンモードチョーク、Yコンデンサの適用)
ケーブルを通じて広がりやすいのがコモンモードノイズです。コモンモードチョークで高周波成分を阻止し、必要に応じてYコンデンサでシャーシ/FGへ逃がします。ただし漏れ電流や安全規格との兼ね合いがあるため、目的と制約を整理して選定します。
シールドと筐体接地(シャーシ接続)の設計を詰める
放射ノイズには、筐体によるシールドと適切な接地が効きます。シールドは“つなぎ方”が重要で、接触抵抗や接続位置が不適切だと逆にアンテナ化することもあります。ケーブル引き出し部の処理(クランプ、フェライト等)もセットで検討します。
部品選定(コンデンサの特性、整流素子、磁性部品)を見直す
高周波領域では、コンデンサのESL、インダクタの飽和特性、ダイオードの逆回復特性などがEMIに直結します。低ノイズ品への置き換えや、目的帯域に合った磁性材料の選定で、根本的な発生源を抑えやすくなります。
測定→仮説→対策→再測定のサイクルを回す
EMIは複数要因が絡むため、最短経路は実測に基づく反復です。近傍界プローブで発生源を当たり、LISNやスペクトラムで伝導成分を確認し、対策の効き方を定量的に評価します。小さく試して確実に積み上げる進め方が有効です。
まとめ
スイッチング電源のEMI対策は、ノイズの種類と経路を切り分けたうえで、波形(dv/dt・di/dt)、レイアウト(高周波ループ)、フィルタ(伝導)、コモンモード対策、シールド(放射)を段階的に組み合わせることが要点です。測定を軸に対策を最適化すれば、誤動作防止だけでなく、規格対応や設計手戻りの削減にもつながります。
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