忍者ブログ

長良の落陽。

シャフトカップリングの仕組みとトルク伝達の原理

シャフトカップリングは、モータ軸と負荷側の軸をつなぎ、回転力(トルク)を確実に伝えるための機械要素です。装置の中では小さな部品ですが、芯ずれ吸収や振動低減、位置決め精度の確保など、駆動性能に与える影響は非常に大きくなります。トラブルの多くは「トルクが伝わっているつもり」で設計してしまうことから始まるため、仕組みと原理を理解して選定・取付することが重要です。
仕組み①:2本の軸を“結合”して回転を伝える部品
基本構造
一般的には「ハブ(軸に固定する部品)+結合部(弾性体や金属ばねなど)」で構成されます。
役割
モータの回転を負荷へ伝達すると同時に、取り付け誤差や運転中の軸変位を許容し、軸受や機械への負担を減らします。



「写真の由来:5mm-6.35mm リジッドカップリング 25x30mm CNCステッピング モータシャフトカップリング
トルク伝達の原理①:摩擦締結(クランプ式・焼ばめ等)
どう伝えるか
ハブが軸を強く締め付け、接触面の摩擦力でトルクを伝えます。
特徴
バックラッシが出にくく、芯出し精度が取りやすい一方、締付力不足や組付け不良があると空転(スリップ)しやすくなります。
ポイント
規定トルクでの締付、軸径公差、表面状態(油分除去)などが性能を左右します。
トルク伝達の原理②:形状結合(キー・スプライン・ピン)
どう伝えるか
キー溝やスプラインの噛み合いで、機械的に回転力を受け止めて伝達します。
特徴
大トルクに対応しやすく、締付力に依存しにくい反面、ガタ(バックラッシ)や応力集中が発生しやすい場合があります。
ポイント
高精度用途ではガタ対策(予圧設計や別方式の検討)が必要になります。
トルク伝達の原理③:弾性体・ばね要素による“ねじり伝達”
どう伝えるか
ゴム(エラストマー)や金属ベローズ、ディスク(板ばね)などがわずかにねじれながらトルクを伝えます。
特徴
芯ずれ吸収や振動低減に効果があり、装置の騒音低減や寿命向上に寄与します。
ポイント
ねじり剛性が低すぎると応答遅れや共振を招き、高すぎると芯ずれ由来の振動が伝わりやすくなります。
仕組み②:芯ずれ(ミスアライメント)を許容する設計
許容するズレの種類
偏心ずれ(平行ずれ)、角度ずれ、軸方向ずれの3つが代表的です。
意味
実機では完全な同心・同軸は難しいため、カップリングがズレを吸収することで軸受負荷や振動を抑えます。
注意点
許容値を超えると、発熱・摩耗・破損の原因になります。機械側の芯出し精度も重要です。
仕組み③:代表的なカップリング構造と伝達の違い
ジョー(エラストマー)
ゴム部品が介在し、衝撃吸収と静音化に強い。一般機械で使いやすい。
オルダム
中間ディスクがスライドし、偏心ずれの吸収が得意。摺動摩耗の管理が必要。
ベローズ
金属蛇腹の弾性で高剛性・低バックラッシを実現しやすい。芯出しが不十分だと負担が増えやすい。
ディスク
板ばねで角度ずれに対応し、高トルク・高応答に向く。サーボ用途で多い。
性能に直結する要素:バックラッシ・剛性・バランス
バックラッシ
ガタがあると位置決め精度に影響します。精密用途では低バックラッシ構造を選びます。
ねじり剛性
高いほど応答が良い一方、振動が伝わりやすくなることがあります。用途に合うバランスが必要です。
動バランス
高速回転ではわずかな偏りが振動源になります。許容回転数とバランス品質を確認します。
まとめ
シャフトカップリングは、ハブと結合部で2本の軸をつなぎ、摩擦締結・形状結合・弾性要素のねじり伝達といった仕組みでトルクを伝えます。同時に芯ずれを許容して軸受負荷や振動を抑える役割も担い、構造によってバックラッシや剛性、減衰特性が大きく変わります。目的の精度・応答性・静音性に合わせて方式を選び、許容芯ずれ内で正しく取り付けることが、安定したトルク伝達と長寿命化の鍵になります。
PR

コメント

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

P R