実際に3Dプリンターを使用すると、どのようなメリットを享受できるでしょうか。おもなメリットとして、ここでは次の6つを解説します。
アイデアを簡単に具現化できる
立体的なものをデザインする際、3Dプリンターがなければ、金型を製作する前にイメージどおりかを何度もデータの状態でチェックする必要があります。1度金型を作ってから修正が必要になると、もう一度金型の費用がかかるからです。そのため、商品ができあがるまでに相当の時間を要します。
3Dプリンターで立体プリントができれば、実物に近いものをさまざまな角度から観察できます。組み合わせの変更や形状を変更するなど、新しいイメージやアイデアが生まれる機会も増えるでしょう。
開発期間・コストの削減を実現できる
3Dプリンターのない時代は、作品を作り終えるまでに金型を製作する必要がありました。それに対し、3Dプリンターは3Dデータさえあれば、そもそも金型の製作を外注しなくともよくなります。試作品やテストパーツ、治具なども自社内で容易に製作できることから、期間を大幅に短縮でき、費用も大幅にコストカットできるのです。
さらに、データやパソコンの画面だけでは気が付かないデザインミス・設計ミスを、金型の製作前にチェックでき、ミスを未然に防ぐことで無駄なコストを抑えられます。さらに、少量であれば実際の最終製品も3Dプリンターを活用すれば、さらにコストダウンが期待できるでしょう。
品質の向上を図れる
3Dプリンターを使えば実物と同じ形状でプリントでき、試作品を製作している段階で、形状や動作を念入りにチェックできます。また、部品の組立や事前検証も容易になるため、品質の向上も図れるでしょう。
ある一定のサイズまでは、3Dプリンターで製造することが可能です。パーツを一つひとつ組み合わせていたものも、一つのものとして設計を見直して製造することで、耐久性においても従来品より向上することが期待できます。
また、耐久テストも事前に行ないやすくなり、製品化後のトラブル発生リスクの抑制につながるでしょう。
切削では作れない形の造形が可能
3Dプリンターは、3Dデータをもとにして積層方式で物体を形成するため、細部が複雑な形状のものでも製作することが可能です。それに対し、切削加工はある程度の大きさがある材料に対して、工具を使って削り出す必要があります。形状が複雑だと1回では製作できず、手順を複数回に分けなくてはならないため、それだけ時間もかかってしまうでしょう。
切削でも加工ができる形状は多数ありますが、素材から大きく削る必要がある形状だと、削る時間と材料費が多くなりがちです。3Dプリンターなら、複雑な形状でも1回で造形できるため、製作時間の短縮だけでなくコスト削減も期待できるでしょう。
情報流出のリスクを防ぐ
従来であれば、試作品においても、金型などを含めた製作を専門業者に依頼していました。その際、外部に委託することで生まれる情報流出のリスクに備え、機密保持契約の締結など煩雑な手続きをする必要があったのです。
3Dプリンターを使用すれば、試作品の製作の内製化により、製品形状や製品データを外部に持ち出さなくて済みます。情報流出のリスクを防げる点もメリットといえるでしょう。
必要なときに、必要な場所で、必要なだけ製作できる
これまで、製品が故障した際には、あらかじめ予備の製品や金型を用意しておくことで対応していました。しかし、3Dプリンターを導入すれば、データが手元にあるため必要なときに製作できます。
変更や改良を加える場合でも、データを調整するだけで対応が可能です。金型の用意も不要で、商品の余剰在庫を抱える必要もありません。また、使用していたパーツが製造中止となった際、製造や修理ができないという悩みも解消されます。
データを送付するだけで製作でき、金型を遠方まで運んで製作するといった手間も省けるので、利便性と機動性が非常に高まります。
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