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長良の落陽。

リニアステッピングモータの制御方式と駆動回路の基礎

リニアステッピングモータは、回転運動を直線運動に変換することなく、直接リニア(直線)駆動を実現できるモータです。ステーターとムーバーに刻まれた歯形と磁界の同期作用により、入力パルスに応じて一定ステップで直線移動します。位置決め精度が高く、CNC機械、搬送システム、半導体装置などに広く用いられています。
制御方式の基礎
1. オープンループ制御
●最も基本的な制御方式で、入力パルス数に応じて移動量を決定します。
●構成がシンプルで低コストですが、外乱や負荷変動によりステップアウト(同期外れ)が起こる可能性があります。
●用途例:位置決め精度がそれほど厳しくない搬送装置。
2. クローズドループ制御
●エンコーダを用いて実際の位置をフィードバックし、指令値との誤差を補正します。
●高精度位置決めと安定動作が可能で、ステップアウトを防止できます。
●用途例:半導体製造装置、精密加工機。



「写真の由来:Nema 23 ノンキャプティブ 66mm リニアステッピングモータ 2.5A リード2.54mm 長さ250mm


3. マイクロステップ制御
●コイル電流を細かく制御し、通常のステップ角をさらに分割して動作させる方式です。
●動作がスムーズになり、振動・騒音の低減に効果があります。
●用途例:静粛性が求められる医療機器や分析装置。
駆動回路の基礎
1. バイポーラ駆動回路
●コイルに双方向の電流を流す方式で、Hブリッジ回路を用います。
●高トルクが得られるため、多くの産業用リニアステッピングモータで採用されています。
2. ユニポーラ駆動回路
●コイルの中央タップを利用し、片方向の電流のみを流す方式です。
●回路が簡単で制御が容易ですが、トルクはバイポーラに比べて低下します。
●小型機器や教育用に適しています。
3. 定電流駆動
●電流制御回路(チョッパ制御)を用い、電源電圧が高くてもコイル電流を一定に制御する方式です。
●高速応答と効率的な駆動が可能となり、精密制御に適しています。
まとめ
リニアステッピングモータの性能を最大限に引き出すには、用途に応じた制御方式と駆動回路の選定が欠かせません。
●簡易で低コストならオープンループ制御+ユニポーラ駆動
●高精度で安定した位置決めならクローズドループ制御+バイポーラ駆動
●静音・高精度動作ならマイクロステップ制御+定電流駆動
このように、システム要求に応じて最適な組み合わせを選択することが、安定動作と高精度制御を実現するポイントです。
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