モータを制御する上で欠かせないのが モータドライバ です。モータドライバは、制御信号をもとに電流や電圧を調整し、モータを適切に駆動させるための回路や装置を指します。用途や対象となるモータの種類によって多様な方式があり、それぞれに適した使い分けが必要です。本記事では代表的な
モータドライバの種類と用途について解説します。
1. DCモータドライバ
特徴
直流モータの回転速度や回転方向を制御。
PWM(パルス幅変調)制御によって速度を滑らかに調整可能。
Hブリッジ回路が基本構成。
主な用途
玩具や家電(扇風機、掃除機)
自動車のパワーウィンドウやシート駆動
小型ロボットの走行モータ
2. ステッピングモータドライバ
特徴
ステッピングモータの「ステップ動作」を制御。
マイクロステップ制御により高精度な位置決めが可能。
電流制御でトルクや発熱を最適化。
主な用途
3DプリンターやCNC工作機械
医療機器の精密送り機構
産業用ロボットの小型駆動部
3. サーボモータドライバ
特徴
エンコーダからのフィードバックを受け、速度・位置・トルクを高精度に制御。
クローズドループ制御により脱調がなく、滑らかな動作を実現。
高速応答性に優れる。
主な用途
産業用ロボットの関節駆動
工作機械(マシニングセンタ、旋盤)
半導体製造装置や精密測定機器
4. BLDCモータドライバ(ブラシレスDCモータドライバ)
特徴
ブラシレスモータを制御するため、電子的に整流を行う。
ホールセンサやセンサレス制御を用いて回転位置を検出。
高効率で長寿命、ノイズが少ない。
主な用途
ドローンや電動自転車
空調機器やコンプレッサー
車載機器(EVの補機、冷却ファンなど)
5. 汎用インバータドライバ
特徴
三相誘導モータなどの交流モータを制御。
周波数を変化させて回転数を制御。
省エネやソフトスタート機能を実現。
主な用途
コンベアや搬送システム
ポンプや送風機
HVAC(空調制御システム)
まとめ
モータドライバには、対象となるモータや用途に応じて多様な種類があります。
DCモータドライバ:シンプルな速度・方向制御
ステッピングモータドライバ:高精度な位置決め
サーボモータドライバ:高精度・高応答の制御
BLDCモータドライバ:高効率・長寿命が必要な駆動
インバータドライバ:大規模設備や産業機械の回転数制御
それぞれの特性を理解し、システム要件に応じて最適なモータドライバを選定することで、効率的で信頼性の高い機械制御が可能になります。