機械に人間のような知能を持たせる、という発想自体は昔からありました。ではなぜ今になって人工知能が注目を集めているのでしょうか?その理由の1つが「ニューラルネットワーク」という分野の進歩です。
ニューラルネットワークは直訳すると神経回路。神経回路というのは脳内にある神経細胞のつながりを意味する言葉であり、「ニューラルネットワークが進歩した」ということは「脳の働きを再現する技術が進歩した」と言い換えることができます。
人工知能がなぜ優れているのか?
機械が脳を再現できるようになるとどんなことができるのか、1つ例を挙げて説明します。
あなたの目の前に犬の写真があったとしましょう。この写真に写っている犬がよほど珍しい犬種でもない限り、あなたの知らない犬種であったとしても犬だと判断できるはずです。もちろん犬が正面を向いていても横を向いていても、被写体が犬であることを見分けるためには何の障害にもなりません。従来のコンピュータではこれができませんでした。なぜならコンピュータはカメラから取り入れた画像を小さな点の集まりとしか捉えられないから。人間のように「足が4本ある」「尻尾がある」といった抽象的な特徴を捉えることができないため、あらかじめ記録されている画像と少しでも違うと被写体が犬であるかどうかさえ判断できないのです。しかし人工知能技術の発展により、コンピュータがあたかも人間の脳内で行っているのと同じように抽象的なパターンを読み取ることができるようになりました。iPhoneXに実装された顔認証システム「FaceID」、車の運転時に歩行者や障害物を検知する機能など私たちの身近でもすでにこの技術が導入され始めています。
もちろん人工知能ができるのは画像認識だけではありません。患者の症状から病気を診断したり、まるで人間と話しているかのように言葉でコミュニケーションをとったりなど、これまで人間でなければできないと思われてきたことが人工知能によって機械でも可能になり始めています。機械が人間の代わりになるかもしれないとなれば注目されないわけがありません。
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